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開業前の支出は
経費にできるか

できる場合があります。開業前に使ったお金は「開業費」として扱えるためです。しかもいくら落とすかを自分で決められます。まずレシートを捨てないでください。

開業費とは何か

所得税法施行令 第7条第1項第1号(繰延資産の範囲)
開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)

ポイントは「開業準備のために特別に支出する」という部分です。日常的に発生する費用ではなく、その事業を始めるために使ったと説明できるものが対象になります。

「好きな年に落とせる」の根拠

繰延資産の償却は、原則として次のように計算します。

所得税法施行令 第137条第1項第1号
その繰延資産の額を六十で除し、これにその年において業務を行つていた期間の月数を乗じて計算した金額

つまり原則は60か月(5年)で均等に落とす形です。ただし、同じ条文には次の定めがあります。

所得税法施行令 第137条第3項
居住者が、第一項第一号に掲げる繰延資産(=開業費・開発費)につきその年分の…事業所得の金額…の計算上必要経費に算入すべき金額として、当該繰延資産の額の範囲内の金額をその年分の確定申告書に記載した場合には、同号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、当該金額として記載された金額とする。

これが「任意償却」と呼ばれているものの根拠です。開業費の総額の範囲内で、その年に落とす金額を自分で決めて申告書に書けます。0円でも、全額でも、途中の金額でも構いません。
使い道としては、初年度は赤字だから落とさずに置いておき、利益が出た年にまとめて落とすという考え方があります。ただし有利不利の判断は個別事情によるので、税理士にご確認ください。

開業費になりにくいもの

支出考え方
10万円以上のパソコン・機材開業費ではなく減価償却資産として扱うのが基本です → 会計ソフトの選び方
仕入れた商品売れるまでは在庫(棚卸資産)です
敷金・保証金戻ってくる部分は費用になりません
生活費と区別がつかないもの「開業準備のために特別に支出した」と説明できるかどうかが分かれ目です

金額や期間の線引きは、当サイトでは断定しません。迷うものがあれば、レシートを残したうえで税務署か税理士に確認してください。捨ててしまうと、確認しても救えません。

いま、やっておくこと

1. 開業前のレシート・領収書・クレジットカードの明細を1か所に集める
2. それぞれ「何のために使ったか」を一言メモしておく
3. 電子で受け取った領収書は、データのまま保存する(印刷だけでは足りない場合があります)
4. 会計ソフトを決めたら、開業費としてまとめて入力する

電子で受け取った請求書や領収書の保存には、電子帳簿保存法のルールが関わります。ファイル名を「日付_金額_取引先」にして1つのフォルダに集めておくと、あとで整理し直さずに済みます。

開業日をいつにするかで変わる

「開業日より前」の支出が開業費です。開業日は開業届に自分で書きます。そして開業日は、青色申告承認申請の期限(事業開始等の日から2月以内)の起点にもなります。

先に開業日を決めてしまうと、その前後で扱いが変わるものが確定します。開業届を出すタイミング

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出典:所得税法施行令 第7条・第137条(e-Gov法令検索)。最終確認日:2026年9月9日。このページは税務の助言ではありません。開業費に当たるかどうかの判定と有利不利は、税務署または税理士にご確認ください。