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報酬から
源泉徴収されるとき

最初に、いちばん誤解の多いところから。個人事業主への支払いが、いつも源泉徴収されるわけではありません。源泉徴収されるのは①法律で定められた種類の報酬・料金で ②支払う側が源泉徴収義務者である場合に限られます。まず自分の仕事が対象かどうかを確認してください。

①対象になる報酬・料金の種類

国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲」では、居住者に支払う次のようなものが挙げられています。

ここに当てはまらない仕事は、原則として源泉徴収の対象になりません。例えば、一般的な物品の販売、多くの受託開発や制作の請負、コンサルティングの一部など、対象の種類に含まれない取引では源泉徴収されないのが通常です。「個人事業主だから10.21%引かれる」ではありません。自分の取引が対象かどうかは、支払元または税務署にご確認ください。

②支払う側が源泉徴収義務者かどうか

国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは」より
「常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与を支払っている個人は、その支払う給与や退職金について源泉徴収をする必要はありません」
「給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が支払う弁護士報酬などの報酬・料金については、源泉徴収をする必要はありません」

つまり、相手が個人で、人を雇って給与を払っていない場合などは、源泉徴収されないことがあります。同じ仕事でも、相手が会社なら引かれ、個人なら引かれないということが起こります。

対象になる場合の税率

国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」より
支払金額(A)が100万円以下:A × 10.21%
100万円超:(A − 100万円)× 20.42% + 102,100円

出典:国税庁「No.2795」「No.2792」「No.2502」(いずれも2026年9月10日確認)。これは上の①②に当てはまる場合の税率です。他の種類の報酬・料金では税率や計算方法が異なります。

同ページには、名目についてもこうあります。「謝金、取材費、調査費、車代などの名目で支払をする場合がありますが、これらの実態が原稿料や講演料と同じ場合には、すべて源泉徴収の対象になります」「旅費や宿泊費などの支払も原則的には報酬・料金等に含まれます」。いっぽうで「試験問題の出題料や答案の採点料などは含まれません」とされています。

消費税の扱い(国税庁の原文)

請求書等において報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。」(国税庁 No.2795)

「差し支えありません」=そうしてもよい、という書き方です。区分せずに税込金額を対象にすることもできますが、区分して書いておけば、源泉徴収は本体価格に対してかかります。請求書で本体と消費税を分けて書いておくほうが、金額が小さくなり、計算も明確になります。→ 請求書の書き方

請求書での書き方(対象になる場合の例)

小計(本体)   100,000円
消費税(10%)   10,000円
源泉徴収税額  △10,210円
お支払金額    99,790円

本体100,000円 × 10.21% = 10,210円。消費税を区分しているため、源泉徴収は本体価格に対して計算しています。対象外の仕事では、この行は不要です。

帳簿での扱い

やることなぜ
売上は「引かれる前の金額」で計上する入金額(手取り)を売上にすると、売上が過少になります
引かれた源泉徴収税額を記録する確定申告で精算するため。ここが抜けると、払いすぎたまま終わります
支払調書が来たら保管する金額の確認に使えます。ただし個人事業主への交付は義務ではないため、来ないこともあります

確定申告での精算

1年分の所得から計算した所得税と、すでに源泉徴収された合計額を比べます。引かれすぎていれば還付、足りなければ納付。確定申告が必要になるライン

「源泉徴収されているから申告しなくてよい」ではありません。申告しないと、戻るはずのお金が戻りません。

次に取る行動

  1. 自分の仕事が上の①の種類に当てはまるかを確認する
  2. 当てはまりそうなら、取引先に源泉徴収の有無を確認する(②の判断は相手側の事情です)
  3. 対象なら、請求書で本体価格と消費税を分けて書く
  4. 売上は引かれる前の金額で記帳し、源泉徴収税額を別に記録する
  5. 判断に迷うときは、所轄の税務署に電話で確認する

次に読む

出典:国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲」「No.2502 源泉徴収義務者とは」。最終確認日:2026年9月10日。このページは税務の助言ではありません。対象になるかどうかの判断は、支払元または所轄の税務署にご確認ください。