事業所得と
雑所得の違い
結論を正確に書きます。判定の原則は「社会通念上、事業と称するに至る程度で行っているか」です。そのうえで国税庁は、記帳・帳簿書類の保存があるかどうかと収入金額300万円の組み合わせで、区分のイメージを示しています。「300万円を超えれば自動的に事業所得」でも、「帳簿がなければ必ず雑所得」でもありません。
まず原則(通達の本文)
所得税基本通達35-2(注)前段
「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。」
通達の解説では、判定にあたって営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、費やした精神的・肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、取引の目的、その者の職歴・社会的地位・生活状況などを総合勘案するとされています(東京地判昭和48年7月18日の判示を引用)。
国税庁が示している区分のイメージ
| 収入金額 | 記帳・帳簿書類の保存 あり | 記帳・帳簿書類の保存 なし |
|---|---|---|
| 300万円超 | 概ね事業所得(注) | 概ね業務に係る雑所得 |
| 300万円以下 | 業務に係る雑所得 ※資産の譲渡は譲渡所得・その他雑所得 |
出典:国税庁「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について(法令解釈通達)」の解説(参考)事業所得と業務に係る雑所得等の区分(イメージ)。2026年9月10日確認。
表の(注)=帳簿があっても個別に判断される場合
解説より。帳簿書類を保存している場合であっても、次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断するとされています。
①その所得の収入金額が僅少と認められる場合
例えば、その所得の収入金額が、例年、300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満の場合(「例年」とは概ね3年程度の期間)
②その所得を得る活動に営利性が認められない場合
その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない場合
帳簿の保存がない場合の読み方
通達本文の後段はこうです。
「その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得…に該当することに留意する。」
解説では、「その所得を得るための活動が、収入金額300万円を超えるような規模で行っている場合には、帳簿書類の保存がない事実のみで、所得区分を判定せず、事業所得と認められる事実がある場合には、事業所得と取り扱う」と説明されています。
| 状況 | 取扱い |
|---|---|
| 帳簿の保存なし・収入300万円以下 | 業務に係る雑所得 |
| 帳簿の保存なし・収入300万円超 | 保存がないという事実だけでは判定しない。事業所得と認められる事実があれば事業所得 |
どちらになるかで変わること
| 事業所得 | 業務に係る雑所得 | |
|---|---|---|
| 青色申告 | できる(承認申請が必要) | できません |
| 青色申告特別控除 | 最大65万円 | ありません |
| 赤字を他の所得と通算 | できる | できません |
| 赤字の繰越し | 青色申告なら3年間 | できません |
| 書類の保存 | 記帳・帳簿書類の保存義務 | 前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円超なら、現金預金取引等関係書類を5年間保存 |
控除の要件は → 青色申告特別控除の要件/申請期限は → 青色申告承認申請書/保存期間の一覧は → 白色と青色の違い
実務としてやること
1. 記帳して、帳簿書類を保存する。区分の判断材料としても、青色申告の要件としても出発点です → 会計ソフトの選び方
2. 事業用の口座とカードを分けて、取引の記録が残る形にする → 口座を分ける
3. 収入が本業の給与に比べて小さい段階なら、個別に判断される可能性があることを知っておく
4. 区分に迷う場合は、所轄の税務署に確認する(電話で相談できます)
次に取る行動
- いまの副業の収入金額と、本業の給与に対する割合を出す
- 帳簿をつけて保存する体制を作る(していなければ今日から)
- 青色申告をするなら、承認申請の期限を確認する → 期限の分岐
- 区分に迷うなら、所轄の税務署に相談する
次に読む
出典:国税庁 法令解釈通達「所得税基本通達」第35条関係 35-2(注)/「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について(法令解釈通達)」の解説。最終確認日:2026年9月10日。このページは税務の助言ではありません。所得区分の判定は所轄の税務署または税理士にご確認ください。